国際ココア機関(ICCO)がこのほど発表した10月の市場報告書によると、2025/26年シーズン開始後、世界のカカオ豆価格はロンドン・ニューヨーク両市場で下落基調が鮮明になった。生産回復への期待が強まり、市場心理が前年とは大きく変化したことが背景にあるようだ。
ガーナが8月に新シーズンへ移行した一方、コートジボワールは例年どおり10月に主産期を開始。ロンドンの期近(12月限)価格は5,478~6,320ドルの範囲で推移し、月初から月末にかけて8%下落した。ニューヨーク市場でも同様に6,686ドルから6,133ドルへと8%下落した。
これに対し前年10月は、供給逼迫を背景にロンドンで11%、ニューヨークで4%上昇しており、需給環境の変化が価格動向を大きく左右している。
一方で、コートジボワールの港湾到着量は鈍化。11月10日時点の累計は41万1,000tで、前年同期比9.7%減となった。もっとも、ICCOは「不作というより、前期の不良豆発生を受け、国内加工業者が品質の良い豆を優先的に在庫として確保している可能性がある」と指摘。これにより港湾への搬出量が抑制され、見かけ上の到着減につながっているとの見方もあるようだ。
さらに、需要面でも弱さが目立つ。主要地域の7~9月期(第3四半期)の加工量は、アジアが前年比17.1%減と大幅に減少し、9年ぶりの低水準となった。欧州も4.8%減の33万7,353t。
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