2024年度のウスターソース類市場は、消費者の節約志向や価格改定の影響で家庭用は販売が鈍化したものの、業務用が引き続き堅調に推移した。
日本ソース工業会がまとめた2024年度(4~3月)のウスターソース類のJAS格付実績は4万1,719kl・前年度比8.1%増と数量が回復した。品目別にみると、ウスターが1万3,089kl・4.5%増、中濃が1万4,327kl・11.2%増、濃厚が1万4,303kl・8.6%増といずれもプラスだった。
昨年度の家庭用ソース市場は、消費者の節約志向が高まる中で引き続き価格改定が実施されたことで、低調に推移した。総務省の家計調査による24年の1世帯当たりのソース支出金額は828円・前年比2.6%増、購入数量は1,353gで横ばい、平均単価(100g)は61.20円・2.7%増だった。一方、業務用市場は、旺盛な外食・加工食品・インバウンド需要を背景に好調。市場ニーズや原料加工に合わせた商品提案やコスト改善提案が奏功したほか、顧客の課題を解決するメニュー提案に注力したことで、新規採用も増加した。
今年度のウスターソース類は、さらなる数量回復に向けて、家庭用の復調と業務用の好調維持が鍵になるだろう。家庭用ソースの使用機会拡大に向けては、いわゆる“つけ・かけ”に加えて、調理への活用推進が欠かせない。各社はこれまでウスターソース類を使ったメニュー提案をしているが、物価高で節約志向が続く中、消費者の「手作り」に対する意識は高い。SNSを活用するなどして取り組みを粘り強く継続することで、数量減に歯止めをかけたい。