つけても、かけても、味付けにも「ぽん酢」

 柑橘類の果汁にしょうゆなどを加えてつくった調味料、ぽん酢類。鍋料理は言うまでもなく、和食に欠かせない調味料のひとつです。今では和洋中問わず、様々な料理に幅広く活用されています。
 元々は、ゆず、ずだち、かぼすなど柑橘類の搾り汁を「ぽんず」と呼んでいましたが、今ではそれらにしょうゆや醸造酢などを加えた「ぽんずしょうゆ」を「ぽん酢」と呼ぶのが一般的です。しょうゆやめんつゆ類と同様、とくに日本食には不可欠な調味料として広く親しまれています。
 市販のぽん酢類は1960年代にフグちりなどの鍋料理用の調味料として導入されました。70年代以降は、酢のもの、焼き魚、焼き肉、冷しゃぶ、おひたしなど、鍋物以外の汎用調味料としても広く認知され、これまで安定した成長を続けてきました。さらに餃子のつけだれやサラダにドレッシング感覚で使われるなど、今日では和洋中問わず、幅広い分野で親しまれています。
 市販製品の主な原料は、本醸造しょうゆ、柑橘果汁、醸造酢、調味料類などですが、マイルドタイプや大根おろし、あるいはしょうがが入ったタイプ、さらにはしょうゆを使用していないタイプ(白物)など、料理に合わせて様々なぽん酢が用意されています。
 近年のぽん酢類生産量はそのほとんどが味付ぽん酢です。また、家庭用が全体の80~90%を占めています。スタンダード品と、高果汁を訴求した高級品の二極化も進んでいます。