お湯を注ぐだけ。名脇役の「即席みそ汁」

 主に昆布・煮干し・鰹節からとった出汁(だし)に、全国各地の特色あるみそを溶き、魚介類・海藻類、野菜や加工食品などを加えてつくられたみそ汁。初めて庶民の食卓に上ったとされる室町時代から現在に至るまで、日本食には欠かすことができない重要な名脇役です。
 粗食の代名詞にもなっている一汁一菜にも欠かせないみそ汁は、主食の脇役としてだけでなく、みその原料である大豆が貴重なたんぱく源でもあり、労働などで失った塩分の補給にも役立っています。地方によって異なる出汁に、多種多様なみそを溶き、多種多様な具を入れてつくられるため、みそ汁の風味はつくり手、その時々によって千差万別です。それだけに、作り方は簡単ですが非常に奥の深いものとなっています。また、「豚汁」や「三平汁」など、名が通った固有名称をもつみそ汁もあります。
 そのみそ汁を、熱湯を注ぐだけで簡単にできるようにしたのが即席みそ汁です。初期はあらかじめ過熱や味付けした、水分を含んだ食品や食品原料をマイナス30℃程度で急速凍結し、減圧して真空状態で水分を昇華させて乾燥したフリーズドライ製品が主流でしたが、近年は生のみそを使い、フリーズドライの具や調理済みを真空パックした具を別添したものが主流になり、器がいらないカップ入りも普及しています。最近ではフリーズドライのブロックタイプも保存性が高く携帯に便利な点で備蓄用やレジャーでも需要が高まっています。
 最近はオフィス内での昼食を、コンビニの弁当やおにぎり、手持ち弁当で済ますサラリーマンも増え、そのお伴として即席みそ汁が重宝されています。