カロチノイドたっぷりの完熟果実が原料「トマト加工品」

 南米アンデスの高地が起源と考えられているトマト。日本には江戸時代に入って来ましたが、一般的に食べられるようになったのは明治時代の後半でした。今ではさまざまな料理に使われるトマト加工品。実は栄養成分は生食トマトより多いのです。
 トマト加工品には、トマト果実を破砕し種子などを除いて搾ったトマトジュース、トマトを裏ごしして濃縮したものに食塩、香辛料、食酢、砂糖類、玉ネギ、にんにくなどを加えて調味したトマトケチャップ、製法はケチャップと同様ながら、さらりとしていて味付けも薄めなのでパスタソースのベースなどに利用されるトマトソース、トマトを裏ごしして濃縮し、少量の食塩、香辛料、野菜などを加えて調味したトマトピューレー、ピューレーと同様につくられますが固形分が高いトマトペースト、そして、皮をむいてシンやヘタを取り、全形のまま充てん液を加えて加熱殺菌したホールトマト(固形トマト)があります。いずれも生食用とは異なる、「赤系トマト」と呼ばれる加工用トマトが完熟したものを原料にしています。
 トマトには最近注目されている栄養成分であるβカロチンやリコピンが多く含まれています。これらは野菜に含まれる赤や黄色の色素であるカロチノイドの仲間ですが、トマトの赤い色はリコピン由来で、熟したトマトほど多く含んでいます。このため完熟した加工用トマトの方が生食用トマトの約3倍のリコピンを含んでいます。ジュースでも、ケチャップなどを使った料理でも、自然に栄養バランスがとれるようになっているのには、このような背景があるからです。(参考URL:全国トマト工業会 http://www.japan-tomato.or.jp/index.html )