多種多様で奥が深い「酒」の世界

 お酒は、よく目にする身近なものから聞き慣れないものまで実に多種多様、奥も深い飲み物です。世界各国の文化とも密接で、お酒自体にも文化があります。料理の良き友であるお酒の楽しさを後世に伝承するには「適正飲酒」も大事です。
 日本の酒税法ではアルコール分を1%以上含む飲料を酒類(アルコール飲料)と言います。ビールや焼酎、清酒、ワイン、ウイスキー、ブランデーなどが身近ですが、ピンガ(ブラジルの蒸留酒)やミード(蜂蜜原料の醸造酒)など聞き慣れないものまで、実に多種多様なお酒が世界に存在します。
 お酒は、大きくは醸造酒、蒸留酒、混成酒に分けられます。醸造酒は原料をそのまま、あるいは糖化させたものを発酵させたもので、ビール、日本酒、ワインなどがあてはまります。 蒸留酒は醸造酒を蒸留し、アルコール分を高めたもので、焼酎やウイスキー、ブランデー、ウオツカ、ジンなどです。 一方、混成酒は酒(主に蒸留酒)に他の原料の香り・味をつけ、糖分や色素を加えて造ったものです。 薬草系のアブサン、果実系のキュラソーなどがありますが、料理に使われるみりんも混成酒のひとつです。これに、果実、穀物、根菜類、サトウキビ、場合によっては酒粕やブドウの搾りかすなどといった原料由来の区分が加わり、さらに細分化されるので、実に奥深いものとなっています。
 お酒は宗教上の一部を除く世界各国で楽しまれていますが、いずれも食や文化と深い関係にあります。また、お酒自体にも長い歴史と文化があります。最近は健康志向の高まりから、過剰飲酒の弊害が問題視されていますが、料理とも強い絆で結ばれているお酒の素晴らしさを、いつまでも大切にしなければいけません。